長寿命化機能の考え方 - インフラDB

インフラDBが実装するオプション機能のひとつ、「長寿命化機能」は次の考え方で橋梁のライフサイクルコストを試算しています。

LCC算出と健全度評価

LCC算出 健全度評価
目的
  • 将来にわたる対策時期と対策工法、対策コストを試算する(※定期点検の診断結果が試算に反映される)
  • 事後保全と予防保全のコスト比較を行う
  • 対策費用の平準化を試算する
  • 点検結果から客観的な健全度の指標を計算する
  • 健全度と重要度から客観的な対策優先順を計算する
入力
  • 部材毎※1の診断結果Ⅰ~Ⅳ
  • 竣工年(試算する初年度時点の経過年)
  • 諸元(対策コストの計算に使用)
  • 部材毎の損傷種別と損傷程度(a~eなど)
  • 諸元(重要度の計算に使用)
出力 ライフサイクルコスト
  • 部材毎※1の対策時期と対策工法、対策コスト
  • 事後保全と予防保全のシナリオ比較
  • 平準化した対策時期
ライフサイクルコスト
健全度評価
  • 健全度(耐荷性・走行安全性)
  • 重要度
  • 対策優先順位指標
健全度評価

※1 簡易的に構造物毎に置き換えて試算することもできる。

LCC算出の考え方

① 対策を実施する単位の考え方

  • 主要な部材毎に対策時期対策工法を考える。
    (部材毎の健全度Ⅰ~Ⅳを計算に使用するため、データベースにそれらの情報が登録されている部材を必然的に選定することとなる)
対策を実施する単位の考え方

② 対策時期の考え方

  • 補修部材交換部材に分けて考える。
  • 補修部材は、竣工時が健全度100ポイント、健全度Ⅳが0ポイントとし、経年により健全度が低下するものとする。健全度の変化(劣化予測式)は部材毎に設定する。
  • 事後保全のシナリオでは健全度Ⅲ(33.3ポイント)に、予防保全では健全度Ⅱの中間点(50ポイント)に到達すると対策を実施する。対策後は健全度が100ポイントに回復するものとする。
  • 交換部材は、竣工時からの一定周期で交換(対策)するものとする。
対策時期の考え方

③ 直近の点検結果を反映する考え方

  • 直近の点検結果の健全度Ⅰ~Ⅳが、竣工年あるいは前回対策年からの経過年から想定される健全度よりも良い/悪い場合は、劣化予測式をx軸方向にスライドさせることで、実際の健全度と一致するよう補正する。
    ※これにより、点検結果に基づくLCCの見直しが行われる。
直近の点検結果を反映する考え方

④ 対策工法と対策コストの考え方

  • 部材毎に、予防保全(健全度Ⅱ)と事後保全(健全度Ⅲ)において実施する補修工法を定義する。
  • 補修コストは単価数量で算出する。数量には諸元の数値を織り込んだ計算式とすることで、構造物に応じた補修コストを計算する。
直近の点検結果を反映する考え方

健全度評価の考え方

① 対策を実施する単位の考え方

  • 主要な部材毎に損傷種別損傷程度から健全度指標を考える。
    (部材の損傷程度を計算に使用するため、データベースにそれらの情報が登録されている部材を必然的に選定することとなる)
  • 部材は耐荷性走行安全性の2つの観点に分けて考える。
対策を実施する単位の考え方

② 健全度評価定義の考え方

  • 健全度に影響を及ぼす度合いに応じて、部材毎の重みづけ(Pi)を行う。係数(重み)の総和が1.0となるように定義する。
  • それぞれの部材に発生する主要な損傷種別を選定し、健全度に影響を及ぼす度合いに応じて、損傷種別の重みづけ(Di)を行う。係数(重み)の総和が1.0となるように定義する。
  • それぞれの損傷の程度について、健全を100ポイント、不健全を0ポイントとして損傷程度の点数配分(Ri)を定義する。(例:損傷程度a=100, c=50, e=0)
  • Ri×Di×Piの総和を健全度指標とする。最も健全で100ポイント、不健全で0ポイントとなる。
健全度評価定義の考え方

③ 耐荷性と走行安全性の比率

  • 耐荷性と走行安全性の健全度指標を一定比率で重みづけし、構造物全体の健全度指標を算出する。
耐荷性と走行安全性の比率

④ 重要度定義の考え方

  • 構造物の重要度に影響を及ぼす項目を選定し、その度合いに応じて配点を定義する。
  • 項目毎の最高点の総和が100点となるように定義する。
重要度定義の考え方

⑤ 健全度と重要度の比率

  • 健全度と重要度を一定比率で重みづけし、構造物の対策優先順位指標を算出する。
  • 指標の数値が大きいほど、より優先的に対策が必要なことを示す。
健全度と重要度の比率